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執筆者の写真Motoki

いつかのあの坂を登って下っていく


狭い住宅街の路地をゆっくりと歩いていく。

緩やかな登り坂を上がって行くと、坂の傾斜が一気に増していく。

公園には梅や桜の木々が生い茂っていて、のんびりと人々がくつろいでいる。

険しい急坂とその隣に広がる穏やかな光景との強弱の差が激しい。

まるで人生の裏と表を表現しているようで、面白い。


オレの感情を揺さぶる出来事が頭から離れず、何か答えを絞り出そうとしているタイミングで、無性にこの場所に戻ってきたくなる。

電動車椅子で行くには決して楽な道ではないが、激動の今を生きていることを生々しく感じることができる。まだ何とか歩けた時にも、力を振りしぼって登った道。一人で外出できるようになって、電動車椅子で爆走した記憶もある。その思い出が絡み合って、昔の自分と今の自分が対話をしているような不思議な感覚。


坂を登りきると束の間の休息を、歴史ある大倉山記念館の’前で満喫する。

昔から何も変わることのない時間が流れていて、余計な雑念が消えて落ち着く。


そして自由を求めて、社会に飛び立っていった大倉山駅のホームに向かって下っていく。

坂が平坦な道に変わり、また現実の世界と向かい合う日常が始まっていく!

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