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  • 執筆者の写真Motoki

やるなら今しかない


どれだけの想いを秘めて挑んでも、またしてもはね返される残酷な現実。


日本一のみならず、世界一を目指した日々があった。トップを目指す経験を積み重ねてきて、多くのことを吸収し、糧にして結果を残してきた。普通に考えればやるべきことはやりきったと言えるはず。


それでもオレの心は満たされない。今まで積み上げてきた価値観を全て切り捨てて、現代社会の常識を覆すような、新しいことに一からトライする衝動を抑えることができない。「本当に全てのことを選手に、サポーターに、そして仲間に伝えきったのか。そして何より自分自身の信念を追求しきったのか。」そう問われるとはっきりとうなずけないオレがいる。


我が人生最後の野心を実現するため、人脈のあるこの今治の地に降り立った。幾度となく厳しい局面に立たされて、眠れない夜もあった。本気で挑めば挑むほど、いくつになっても気持ちで負けている選手を見るとはらわたが煮えくりかえる。「なぜに守りに入る。今こそ歯をくいしばって攻める時だろ。」と叫びたい。


本気で戦える集団を築き上げないと、絶対に上にのし上がることはできない。「オレが信じる哲学は余すことなく伝えきる。だから後は日々の努力を怠らず、自分自身で考え自立して行動できる人間になって欲しい。」なぜなら教えられたことを全うするだけでは、何の面白みもないし、いつか限界が訪れる。とにかく己で試行錯誤して答えを導き出さなければ意味がない。それを痛いほどに全身で感じるから、オレの使命はまだ何も果たされていないのだろう。


気が重くなって嫌になることもある。「でもオレの周りにはたくさんの背中を押してくれる友がいる。」そのことへの感謝は日に日に増すばかり。


「あとは言い訳せずに結果を残してみろ。」と、己に檄を飛ばす。そんな日々がきっと死ぬまで繰り返されるのだろう。


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平野誠樹を長年応援してくださっている 岡田武史氏を今夏、今治に訪ねました。 温かく出迎えてくれた岡田さんは快く取材をうけてくれました。 このコラムはその時の取材を元に 岡田さんの気持ちを想像して書いたセミフィクションです。 素敵な再会のひとときとなったエッセンスをここに記します。

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