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執筆者の写真Motoki

何かを捨てて、何かを拾う


これはサッカー?フットサル?


でもよく見てみると電動車椅子に乗っている人達がプレーしているね。


自力で車椅子を動かせない重度の障害を持つ選手が、ジョイスティックというゲームセンターで使うようなコントローラーを操作して、普通にサッカーしているね。しかも男女混合で年齢もバラバラ。


そう、昔はオレもこの電動車椅子サッカーの選手だった。もうずっとプレーしていないせいかその感覚をほとんど覚えていない。


でもあの瞬間の事は今でも鮮明に映像として覚えている。


2009年の日本電動車椅子サッカー選手権大会初戦。


選手兼任の監督だったオレ。


試合の流れを変えるために、ゴールキーパーとして後半に途中出場した。読み通り流れが変わり、先制得点が生まれた。


ベンチに監督としていた時は、自分たちの流れになったらすぐベンチに引き下がるつもりだった。でもその時はなぜかその選択をしなかった。


その後、オレの判断ミスで相手に同点弾を許してしまった。選手交代でベンチに戻ったが、一度失った流れは簡単には変わらない。試合終了間際に決勝点を奪われ1対2で初戦敗退。


敵が放ったロングシュートが、目の前をすり抜けていった瞬間がフラッシュバックする。


この試合の結果を受けて、現役選手を引退して監督一本に徹することを決意した。


何かを実現させるために、何かを諦めないといけない。


一番大事にすべき事を見極める力がないと、全てを失う残酷な現実。


選手を完全に辞めて、初めて監督という役割を理解できた。簡単なことではないが、選手を続けたいという欲望を捨て、監督として生きる道を選んだ。


あの時、監督として、選手として2つの致命的なミスを犯した。その経験があったからこそ今のオレがいる。


痛みが強ければ強いほど、人は強くなれる。だからこそ、どんな痛みも余す事なく味わいたい。そんな変人がたくさん存在する世界の方が面白い!



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