①電動車椅子サッカー競技の現状
コロナ一色で幕を閉じてしまった2020年。競技に関わってから23年間で初めてJPFA(日本電動車椅子サッカー協会)関連の大会は、一つも開催されることはなかった。2021年もいつ大会が実施できるかは手探り状態。秋の大会実施に向けて準備は始まっている。どのように運営をマネージメントできるかがポイントとなる。
チーム練習は地域によっての格差が大きく、コロナの感染状況や選手の基礎疾患などの条件によっては、まともに練習ができていないチームも少なくない。私のチームの現状がまさにそうである。
最大の懸念材料は選手の体力と筋力の低下。ある程度、定期的に練習に参加する事で体幹や腕、手などの競技に必要な筋力を維持できている筋疾患系の選手は少なくないはずだ。そして何よりも試合ができていないので、どの選手も体力面での衰えも著しいだろう。
コロナウイルスが終息した後も、まずはどこまで元の状態に体を戻せるかが鍵となりそうだ。
これはどのスポーツ競技においても言えることだろう。コロナウイルスの問題以外にも、それぞれの障がい者スポーツが抱える課題は以前からたくさんある。一番の課題は、競技認知が進んでいないこと。
日本障がい者サッカー連盟(JIFF)には7つの競技団体が存在する。①アンプティサッカー(切断障がい)、②CPサッカー(脳性麻痺)、③ソーシャルフットボール(精神障がい)、④知的障がい者サッカー、⑤ブラインドサッカー(視覚障がい)、⑥デフサッカー(聴覚障がい)、そして⑦電動車椅子サッカー(主に身体障がい)が国内で活動している。
正直なところブラインドサッカー以外の競技は、障がい者スポーツの中でもかなりマイナーなスポーツである。電動車椅子サッカーに関しても、魅力がある競技にも関わらず、ほとんどの人が競技の存在を知るどころか、聞いたことすらないのが現状であろう。
知って頂けないと競技に関わってくださる人材のネットワークが広がっていかない。それでは競技が発展していかず、選手のモチベーションが下がる大きな要因となりうる。スポーツは大前提として楽しむものなので、当事者だけでなく周りの人が前向きな気持ちでサポートしようと思える魅力的な競技になっていかないと、衰退していく。
それを打開していくためにはそれぞれの競技がもっと連携して、お互いの課題を共に知恵を出し合って改善していく環境作りが求められている。まずは他者を知ることから全ては始まる。電動車椅子サッカー界にも同じことが言える。
(次回 「②ブラインドサッカーと他の障がい者サッカーの違いとは」)

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